塑像の実習前半終了

12月4日に、塑像の実習の前半が終わりました。2回までのことはすでに書いてアップしてありますが、その後もあっという間に終わって、12月4日は講評と粘土に戻す作業をして、前半が終わりました。その経過です。

今回は2回目で荒付をして、その後の3回目から、わりと早く形を整えることができました。下の2つの写真は3回目(11月6日)と4回目(11月13日)の終わりに撮った正面像です。
下の4回目の写真を家に帰ってから印刷してつらつら眺め、どこがおかしいかを検討しました。その際、塑像、首像をキーワードにしてネットで検索したら、水道端美術学園のページの優秀作品というのがヒットしました。どれも自然な表情のたたずまいを見せる像で、とても参考になりました。印刷した自分の作品を見ると、モデルさんが持っている華やかな表情が欠けている、なんとなく悲しそうな顔をしていると感じました。それで印刷写真に、「右こめかみ部分を削る」、「右の頤をへらす」、「顎周りを減らす」、「瞳の工夫」、「髪の毛は線刻を止めて凹凸で表現」、「胸鎖乳突筋と僧帽筋を意識的に」と書き込みました。最後の筋肉は舘山先生から最初のころに言われたことです。

こうして5回目に臨みました。上に書き込んだことを思い出しながらモデルさんを見ては作品を見ることを繰り返し、修正を加えていきました。こうして出来上がった作品が次のものです。

12月2日は前半最後の日、講評会が行われます。その前に藤原彩人、角田優お両先生が学生さんたちの作品を採点するので、その間の20分ぐらいを使って、石膏取りの過程を、例年のごとく小生が動画を使いながら説明しました。この動画は2010年の6月8、11、14日の3日間をかけて芸大で舘山拓人先生の指導の下で行った過程を撮影したものをダイジェストにしたものです。説明しながら当時のことを懐かしく思い出しました。

石膏取りの説明が終わり、採点も終わって元のアトリエに戻って講評会です。モデルさんは4人なのに、ここにある作品群はもっとたくさんの人がいるようだ、中にはエイリアンも、というようなジョークまがいの話から、ヒトがものを見るときにいかに思い込みの制約を受けているか、それをいかに克服して観察するかということを藤原彩人先生はお話されました。

まったくその通りだと思います。ヒトは脳で解釈して見ています。視覚が脳の解釈で成り立っているという話は錯視を例としてよく聞きます。小生も昔、生物学の講義の時に話していました。たとえば下の左の図形、何が書いてあるのか全く分かりません。でも右の赤い丸と重ね合わすと「ABCD」と読めてしまいます。本来は赤丸の下には何も描かれていないのに、脳が補完しているのですね。

www.kecl.ntt.co.jp/IllusionForum/ja/recommend.htmlより

視覚だけでなく聴覚でもこのような脳内補完が行われているとは知りませんでした。今日(12月6日)放送のNHK「ためしてガッテン」で、あるフレーズを分断して聞かせるとちんぷんかんぷんだが、その分断した部分にノイズを重ねると、ちゃんと聞き取ることができると言っていました。聴覚もやはり脳で「聞いて」いるということなのでしょう。

閑話休題。そう、大事なことは、とらわれないでよく観察することが、先生の言いたかったことなのでしょう。今回の制作において少しは実践できたかなー。

2つのグループに分かれて行われた講評会の一コマです。
講評会が終わってこれで作品ともお別れ。元の粘土に戻します。その前に、いろいろな角度から撮影しました。フラッシュを使ったものもあります(一番最後)。光の当て方によって随分、見た感じが変わりますね。
今回のはよく作りこんでいる、と角田優先生に行っていただきました。ちょっとうれしかったです。でもまだ頭髪がヘルメットみたい。生え際から頭の後方へ髪の毛がどう走っているのか、観察して思い切って省略することも必要なのかも。後半の課題です。