「変貌する態、もしくは相」:藤原彩人さん作品も

5月22日に、三鷹市の井之頭公園のすぐ近くにあるスペースSで開催されている標記の展覧会を見てきました。

スペースSは昭和初期に建てられた普通の民家の玄関から応接間、日本間と、たぶん一階部分の半分ぐらいを展示スペースにした、雰囲気のある素敵なアートスペースでした。案内をもらっていないと見過ごしてしまいそうなほど、周りの家並みと区別がつきません。門の手前に案内板が立ってはいますが。20160522-0120160522-02

門を入って入口の扉を開けて入ると、玄関と玄関ホールが広々とあり、正面には二階に上がる階段が見えます。靴をスリッパに履き替えて上がると、右手に大きなガラス窓があり飾り棚がついています。そこに藤原彩人さんの小品が並べられていました。
20160522-03左手に応接間に通じる入口があります。中に入る何点かの作品が並んでいました。入ってすぐの左側の壁際には、
20160522-0420160522-05入り口に向かいあう位置には、
20160522-06この2点、これまで見た作品とはちょっと異なり、何か雰囲気を醸し出しています。特にひそひそ話をしている二人の女性。男性の筆者としては何となく「いやーね、誰の噂話してるのかしら」といった風情です。

応接間の右奥から和室へ通じる廊下のようなスペース(左側は隣家との間のそれほど比六区内スペースがある)にも作品がありました。
20160522-0820160522-07小生の塑像の先生である藤原彩人さんの作品について先に触れましたが、標記のタイトルの後には3人の作家の名前があります。そのうちの深井総一郎さんの小品が、奥のピアノの上に並べられていました。
20160522-09どこかで見たような図柄だなと思いました。作者の深井さんとはお会いしたことがないはずなのですが、在廊されている本人にお会いしたらなんか初めてという気がしません。どうやらFacebookで見かけていたんですね。それはともかく深井さんは平面の図から立体に起こす作品を作られているとか。上の白い2匹の子犬がじゃれあっている図柄は丸山応挙の図柄からのようです。

廊下の右手の日本間には2点の作品がとてもうまく配置されていて、そのうちの一点が深井さんの作品で、これはそのとき聞いた記憶ではビュホンの博物誌の中のサルの絵からだそうです。
20160522-12もう一つ、応接間にもありました。こちらは古代中東の確かアッシリアの壁画だったと聞いたような、、記憶があいまいです。
20160522-11もう一人は古賀伸さん。これはまた、全然感じの違う作品です。一番大きなものが応接間の床にありました。「曙光の水田3」というもので、山間の棚田のようです。20160522-16

このほか不思議なテクスチャーのある作品がいくつかありました。湧き上がる雲のようです。
20160522-14表面いっぱいに、細かい粒粒があります。思わず、どうやって作るのか、やはり在廊していた古賀さんに聞いてしまいました。そういえば、日本間にはもっと大きな作品が、サルと並んでいました。
20160522-13いずれも陶の作品ですが、三人三様、全く違った雰囲気の作品です。木とも石とも金属とも違う、陶の彫刻作品。陶器というとすぐにお茶碗を思い出して、釉薬をかけて焼きあがればそれで終わりと思っていましたが、釉薬をかける過程でも、焼きあがった後でも何かしら手を加えて作品を作り出しているということでした。うーん、奥が深いですね。

最終日だったからでしょうか、三人の作家の方がすべていらして、それぞれの方からいろいろな話を聞くことができました。また帰りがけにはこの家の持ち主の方ともお話をして、昔、世田谷に住んでいたころの我が家がやはり昭和初期の建物だったことなどを思い出しながら、アートスペースを後にしました。